・このページは、2013年中に当店がツイートした出品書籍紹介の再掲です。

・リンクから商品ページに飛ぶことができます。画像クリックで拡大。

・並びは時系列順(昇順)、但し品切れのものはページ下部に移動。

・「※品切れ」の表示は「当店の在庫は売れてしまった」という意味で、「amazonマーケットプレイスでの在庫がゼロである」という意味ではありません。

2013/06/07 東逸平・杉山賢一『香水のすべて (1961年)』を #amazon に出品。函・元パラ付きの美品なんだが、凄いのは付録の「匂い見本集」が今でも香ること! 「世界名香の会」……。ググったが、ヒットは1件。この『香水のすべて』の紹介記事で、見本集が付属した、という記述があるのみ。名香の会、今はもう無いのか。残念。この匂い見本は、香りが飛ばないようクリスタルパックに入れて大事に保管しよう。

2013/06/07 藤原喜代蔵『田舎漢の天下』(大正6)を @amazon に出品。「我等は茲に田舎漢(いなかもの)の本領を述べて、田舎漢の為めに大氣焔を吐き、以て田舎漢に對して軽蔑の態度を示す都會人に對して一大痛棒を喰はし、田舎漢の自重を促したいと思ふのである。」……ココロザシ高いな、大正。/僕が出品した『田舎漢の天下』、見返し・遊び紙にビッシリと漢詩が書き付けてある。昔の人は、字が巧いなあ。ところで、(奮作)って書いてるのがかわいい。

2013/07/23 光風社版『山手樹一郎自撰作品集』の18冊揃を #amazon に出品。時代小説の中でも、「明朗もの」といえばこの人でしょう。

2013/08/01 川口松太郎の絶版本がたくさん手に入りました。『新吾十番勝負』は現行の文庫版がありますが、『新吾二十番勝負』『新吾番外勝負』は絶版。『源太郎船』は新聞連載されたもので、今でも根強い人気作。

※『新吾二十番勝負』『新語番外勝負』は品切れ

ほるぷ復刻版より、林芙美子『蒼馬を見たり』。「ルビンのつぼ」的なデザインで、右側に注目すれば横顔、左側に注目すれば女体が見えてくる。

2013/10/09 研究出版社「英文学ハンドブック」を5冊出品。フォースターイーディス・シットウェルマーロウウェブスター、そしてシェイクスピア(問題劇)。どれも中綴じで100ページにも満たない薄い本ですが、日本では評論や評伝があまり出ていないようなマイナーな英作家の巻は、それなりに需要が高いです。 ※『シェイクスピア(問題劇)』は品切れ

2013/10/16 戦争文学の中でも、「捕虜もの」というジャンルがある。会田雄次『アーロン収容所』などがよく知られているが、「敗戦国」日本ではかなり厚みのあるジャンルである。きのう、梅崎光生『ルソン日記』古守豊甫『南雲詩』和田節雄『我輩は俘虜であった』を出品したが、いずれも捕虜文学だ。

2013/10/20 歴史小説の文庫から、シブめのところを数冊出品。吉川英治、高木彬光角田喜久雄、島田和男。『讃母祭』は現代小説だけど、まあ吉川英治だから。目玉は『恋ぐるま』(二冊揃)かな。/「吉川英治文庫」は全161巻あるが、古書の流通量は巻によってだいぶ偏りがある気がしますね。『三国志』とか『太閤記』はどこのブックオフにもズラッとあるけど、マイナーな短~中編はなかなか見かけない。「無い」ってんじゃなく、「いざ探してみるとなかなか見付からない」って感じ。

※高木彬光『あばれ振袖』、島田一男『風姫八天狗』は品切れ

2013/10/20 松田政一『生きる限り主を』出品。牧師の説教集。巻末の遊び紙の書込みに、「松田先生と私との出逢い」とある。書物を通して、伝道者と「出逢う」。本って、こういうもんだよな。 #痕跡本

2013/10/25 西川日恵『手児奈』を出品。謹呈署名・花押。手児奈とは、万葉集に詠まれた伝説の佳人。非業の死を遂げた。本書の結末は、一般に伝えられている最期(入水)とは異なっている。ポイントは、著者が手児奈ゆかりの寺、亀井院の住職であるということ。

2013/10/29 石原兵永『回心記』(新教出版/1959改訂新版)を出品。内村鑑三の直弟子である著者の、キリスト教への「回心」前後の信仰生活を綴る。たびたび登場する「先生」=内村鑑三研究の資料としても価値ある文献。しかし読んでみると、宗教体験ってのは、ある種のトランスなんですな。

然しこの時、主イエスが栄光の中に現れて、我を照らし給うた。そして私は、天より語られるイエスの御声をきいた。「我も汝を罰せじ!」と。 (p.88)

2013/11/11 折原脩三『愛不在』(矢島書房/1962)出品。サイン本、為書は村上一郎。ふたりは一橋大学の同期生。ちなみに1975年、村上は日本刀で自刃。どういういきさつで、蔵書が出回ったのかなぁ。

2013/11/26 ジャプリゾ『ウサギは野を駆ける』(ポケミス/1974)出品。「子供達のビー玉遊び」と空想(?)上の「首都警察への襲撃」が並行して描かれ、やがて混ざり合っていく。一見硬派なノワール小説が、「ダブル・イメージ」によって奇妙なテイストに。

2013/11/28 J・ラフィット『占領下の一夜 レジスタンスM・C救出作戦』(彩流社/1981)出品。レジスタンスがフランス共産党創設者M・カシャンをナチス占領下のパリに護送し、地下潜行を支援する。憲兵や秘密警察の監視をかいくぐる緊張感が伝わってくる。/「レジスタンス」というのは、極めてドラマチックな組織だと思う。各々の志で闘争に参加しているという点で「軍隊」とは異なるし、「テロリスト」のような悪玉でもない。占領軍の目をかいくぐって暗殺や破壊工作をする、という点では「スパイ」的な側面もあるが、元は一介の市民である。

2013/12/02 富村登『鬼怒百話』(1967)出品。医師・文学者・郷土史家である著者の遺稿集。常総の習俗や茨城弁、郷土文人の研究や医学エッセイなど、幅広い。文学研究では特に長塚節への言及が多い。「郷里に根ざした知識人」の鑑、という印象を受けた。富村は、著書で「郷土史教育の重要さ」を繰り返し強調する。郷土史が浸透しないのは「教師の勉強不足」と、「他所から嫁いできた母親の、地域への無関心」が原因であると看破する。

2013/12/02 『織田信長事典』(新人物往来社/1989)出品。あらゆる方向から「信長」を分析する大部。

時代/家系/政策/土木・建築/政治のしくみ/合戦/家臣団/趣味/文献資料 の各章に分かれており、織豊時代を大掴みするのにも便利な資料である。

2013/12/02 有馬頼義『少年の孤独』(角川書店/1963)出品。本書も筆者の幼年時代モデルの私小説。時代は大正。召使を大勢抱えた「元藩主」の家の子供だが、内向的で屈折している。幼少期の性的屈折を描いた表題作は、『仮面の告白』冒頭部の味わいに近い。

2013/12/02 林司『汽車喰われ』(福武書店/1983)。舞台は終戦の年の夏。スパイと渾名され苛められる朝鮮人少年「あいつ」と、屈折した私生児の「僕」。「汽車喰われ」とは列車自殺のこと。僕は轢死体をを見下ろし、「あいつ」でなければいいけど……と思う。

2013/12/05 春陽堂「長塚節全集」の端本を数冊出品。歌人・長塚節は正岡子規の正統な後継者であり、作家としては長編小説『土』によって農村文学の先駆けとなった。『土』の舞台は常総の貧しい寒村である。郷土の偉大な文人の作品を棚に並べられることは、常総の古書店の誇りだ。店舗は無いけど。 当店の出品は、第一巻『土』第六・七巻は『書簡(上下)』別巻は『節あての書簡』となっております。

 

 夏目漱石「余の娘が年頃になって、音楽会がどうだの、帝国座がどうだのと云い募る時分になったら、余は是非この『土』を読ましたいと思っている」

 

 現代人も、娘がスウィーツがどうだの、ブランドものがどうだの、と云い募る時分になったら、『土』を読ませましょう。日本の農村文化を叩き込むのです!

2013/12/05 大江賢次『アゴ伝』(新制社/1958)出品。『絶唱』を著した筆者の自伝。極貧の農家に生まれ、働きながら文学を志し……というスジはありがちだが、題名の通り、自分のしゃくれた「アゴ」へのコンプレックスが通奏低音になっているのが面白い。

 学歴も無く同人にもなかなか溶け込めないが、それでもメゲず、自分を茶化したり嘆息したりしながらも一徹に「文学」に打ち込む姿は、「作家かくあれかし」と思わせる。在りし日の小林多喜二の姿なども描かれており、プロレタリア文学運動の当時の様子を知る資料としても有用である。

2013/12/12 黒澤清『近代会計学大系』全十冊を出品。ウチには専門外の本だが、揃で入ったので。会計学の名著らしい。8巻(監査会計)がキキメみたい。線引き・経年感あるので、相場よりだいぶお安くご奉仕。 

2013/12/12 「花登筐」でTweet検索すると、その作風と朝ドラ「 #ごちそうさん 」との共通点を挙げている人が多い。確かに、下町娘が京都に嫁いでいろいろ大変、ってのは『おくどはん』のプロットとかなりダブりますよね。

2013/12/16 谷譲次『新岩窟王』上下揃(現代教養文庫/1975)出品。『岩窟王』の舞台を日本に移した怪作。仇敵をロシア秘密警察に、ファリア神父の替りに大アジア主義者を、というのは戦前日本の国策迎合的という批判もあるが、その翻案ぶりも面白い。二千円。

2013/12/25 A・ニコラス『希望の地平 現代における修道生活の意義』(女子パウロ会/1976)出品。『愛その他〜』の舞台も修道院したね。現役司祭(当時)の筆なので若干お説教めいているが、日本人に馴染み薄い「修道院」のあり様が分かり易く書かれた好著。

2013/12/25 今瀬剛一『句集 水戸』(本阿弥書店/2007)出品。郷土の俳人の本を置けるのは、やはり古書店として嬉しい。

 

煎餅を割れば匂へり雪の町

おのづから光り無月の杉檜

 

なんて、冬に窓を開け放って、寒気にシャッキリしながら読みたくなるなぁ。

2013/12/27 山室軍平『禁酒の勧め』(救世軍出版/1912)出品。救世軍とは、軍隊組織を模した階級制度や軍服を持つ、いっぷう変わったキリスト教会。著者は日本救世軍の初代指導者にして「中将」。民衆に向け、平易な言葉で「禁酒」の効用を説く。

2013/12/27 徳川夢声『親馬鹿十年』(創元社/1950)出品。滋味溢れる名随筆集。筆者の子煩悩ぶりを惜しげも無く披露した表題作、往年の活動写真弁士の様子を活写した「カツベン譚」、病死した親友に幽霊になって来てくれと紙面で懇願する「幽霊大歓迎」など。

2013/12/27 渡辺行男『万機公論ニ決スベシ』(光風社/1981)出品。明治の黎明期を描いた歴史小説を集めた作品集。「廃刀の議」議論の喧々諤々などが、見てきた・聞いてきたかのように活き活きと描かれる。時に重厚、時にユーモラスな調子で、引き込まれる。

↓ 以下、既に売れてしまったご本 ↓

2013/04/02 早川書房『世界SF全集<2> ウエルズ』をAmazonマーケットプレイスに出品。SF者としてはコンプしてみたい全集ですね。いま「日本の古本屋」で調べたところ、35冊揃いで四万円……。買えなくも、ない額ですね。※品切れ

2013/04/02 小日向白朗『馬賊物語』『続・馬賊物語』の2冊セットをAmazonマーケットプレイスに出品しました。いいですよねぇ、馬賊。いいですよねぇ、満州。満州ってのは、アメリカで言うところの開拓時代の西部ですよ。スリルとバイオレンス。荒野を馬で疾走し、モーゼル拳銃とか乱射するの。あこがれー ※品切れ

2013/04/02 トム・ルッツ『働かない』をAmazonマーケットプレイスに出品。その思惟は「働かない」人々の歴史やその社会的意義、ひいては「働かない」ことの倫理にまで及ぶ。たぶん、今の僕にとって示唆的な内容の多い本だろうと思う。売れちゃう前に読んどこうっと。 ※品切れ

2013/04/03 青木二郎『新編 リンゴの研究』、マーケットプレイスに出品しました。リンゴの起源・世界の品種や栽培法・保管・流通など、リンゴのことでこの本に載っていないことはありません。箱傷みありますが、ぴっちりとパラフィンを掛けたので強度は大丈夫。本体は美本ですよ。 ※品切れ

2013/04/03 東洋文庫より、信夫清三郎『ラッフルズ伝』をマーケットプレイスに出品。日本語で読める本としては、唯一のラッフルズの伝記です。東インド会社専務にしてシンガポールの建国者。近世の東南アジアの状況がよくわかる良書です。状態よし! ※品切れ

2013/06/07 沼正三というのは謎めいた覆面作家で、その正体として挙げられてるのは、三島由紀夫、奥野健男、武田泰淳、澁澤龍彦、会田雄次、倉田卓次、そして天野哲夫。天野哲夫は「自分が沼だ」と「告白」しており、『ヤプー』の続きを書いたりしているが、それを「詐称だ」と思う人にとって、角川文庫版のみが純正。 ※品切れ

2013/06/28 上田廣『原始林の野獣と共に―劉連仁日本潜伏記』を #amazon に出品。中国で日本軍の労工狩りに遭った中国人が、北海道での炭鉱労働から逃亡、終戦も知らず12年間も山奥でサバイバル生活をしていた、というノンフィクション。「恥ずかしながら~」の横井さんみたい。「北海道」「逃亡」というテーマは、吉村昭にも通ずるところがあるね。サイン本です! ※品切れ

2013/07/03 A&Bストルガツキー『ストーカー (ハヤカワSF文庫)』 を #amazon に出品。同名のタルコフスキー映画の原作にして、傑作FPS『S.T.A.R.K.E.R』の原案。絶版文庫ですが、コンディション良好です。 ※品切れ

2013/08/04 右左見堂が出品した斎藤康一『上海 '92-'93』は、サイン本です。毛筆・落款、為書あり。 ※品切れ

2013/08/04 A6大ほどの軍艦写真集『ポケット・ピクトリアル』シリーズ4冊セットを #amazon に出品。サイズ感といい統一的なデザインといい、「セットで持つ」喜びを感じられる写真集です。 ※品切れ

見返しに購入日などを書入れてある古本は多い。でも、この『日本海軍艦艇写真集』の購入日は2622年……未来人が買ったの!?いや、これは「皇紀(神武帝即位紀元)」。軍艦の写真集に皇紀で書入れ……前の所有者の人となりが伺えるよう。 #痕跡本/「きーげんっはっにせーんろっぴゃくねん!」なんて歌を知る人は、どんどん亡くなってるんでしょうねえ。右翼の街宣車がよく、キングレコードの『軍歌』っていうCDを延々リピート再生してるけど、アレには確か「紀元二千六百年」も入ってるので、「耳に憶えがある」っていう人は多いかも。

2013/08/25 ほるぷの復刻から、伊藤静雄『わがひとに与ふる哀歌』。二重函、しかも「行李のようにフタを開けるタイプの函」って今どき無いよね。あと、天は金箔装なのだ(写ってないけど)。 ※品切れ

同じくほるぷ復刻版より、佐佐木信綱(佐々木信綱)『思草(おもひ草)』。箔押しの文字が輝くカバーも良いが、カバー下の表紙の可愛らしさよ。真っ赤なハートから飛び出すキラキラ金色の星ぼし。女の子好みしそうな。 ※品切れ

2013/09/04 「右左見」の「右」!小泉苳三『維新志士勤王詩歌評釈』戦時体制版。パラフィンで見づらいけど、表紙に「陸軍省推薦」とある。「維新志士」というより、幕府に対するテロを働いた無名の武士の歌が多い。 ※品切れ

2013/09/21 僕が出品したヴェルヌ『動く人工島』のカバーアートは、南村喬之のペン画。「創元クラシックス」と銘打ってシリーズをオレンジ色の表紙で揃えたカバーの版もあるようだけれど、こっちの方がダンゼン良いね。南村喬之と言えば、戦後の冒険ものや戦記ものに華を添えた、偉大な挿絵画家だ。 ※品切れ

2013/09/21 注文していた『太平洋戦史文献解題』が届いた。 ※以前のツイートで嘆いた通り、戦争体験者の記録が軒並み埋没しているのが現状。本書はそれらを入念に拾い上げ、解題する。本書を参考に、意欲的に収集していきたい。

 史家やライターによる「戦記もの」は多く、今なお新しいものが出版されたりしているが、戦争体験者の生々しい証言が綴られたドキュメントは次々絶版になっている。僕はそういうものを丁寧に拾い集めて、右左見堂の棚に並べて行きたい。 ※当店の「お仕事用資料」であり、売り物ではありませんが、参考までに掲載しました。

2013/10/16 井出定治『異端とは何か』を出品。モルモン教・エホバの証人・統一教会をハッキリと「異端」と位置づけ、「正統」の立場(著者は福音派の牧師、神学教師)からその異端性を分析する。僕はキリスト者でも無く、特定の信仰すら持たないけれど、宗教の教義性、派閥性ってのは大変だな、と思う。 ※品切れ

2013/10/23 伴繁雄『陸軍登戸研究所の真実』(芙蓉書房/2001)を出品。元所員の手記。風船爆弾、飛行機を撃墜する怪電波などのトンデモ兵器、ニセ札、そして「消えるインキ」などのスパイグッズを開発した研究所。まるで、007シリーズの「Q」ですね。 ※品切れ

2013/10/29 WW2関連の絶版書を数点出品。作家もの・史料ものの中にはシブトク版や刷を重ねている戦争文学・記録もあるが、最前線で命を賭けた兵士の手記の多くが絶版になっていることは、誠に残念である。

まず、能村次郎『慟哭の海』(読売新聞社/1967)。戦艦大和副長の手記である。艦と運命を共にせんとする艦長。著者は「お供いたす」積りであったが、艦長は「副長はこの戦闘を後世に伝えよ」とそれを容れなかった。その任を果たして著された書。 ※品切れ

船坂弘『英霊の絶叫』(文藝春秋/1966)。船坂軍曹を知らぬひとは、まずはWikipediaを参照すると良い。死にかけてはすぐ回復し、切り込む、の繰り返し。まさに「鬼神の如し」である。 ※品切れ

松前重義『二等兵記』(東海大学出版/1968改訂)は異色の戦争体験記。バリバリの官僚にして大政翼賛会総務部長まで務めた著者が、東条英機に反撥してニラまれた為、なんと二等兵として南方に送られる。「権力」って、そういうことなんだなぁ。

まあ、「二等兵として南方に飛ばされた勅任官」松前重義も、捨てる神あれば拾う神あり、寺内寿一元帥の計らいで軍政顧問として安全を確保され、戦死を免れたのだけれど。東条英機も、さすがに元帥・陸軍の最長老の決定は覆せなかったらしい。

松前重義は戦後、東海大学の創設者・総長となった。 ※品切れ

2013/11/02 ジョルジュ・シムノン『ベベ・ドンジュの真相』(ポケミス667番)を出品。妻に毒殺されかかった夫が、夫婦生活を回想する。夫婦間の微妙な心理の綾を簡潔な文体で描く筆力はさすがシムノン、という感じ。絶版であることが惜しい。 ※品切れ

2013/11/03 ディクスン・カー『幽霊屋敷』(創元推理文庫/1961年第4版)を出品しました。オビ・元パラあり。こういう、バリバリの「コレクターズアイテム」みたいなご本が棚に並ぶとやっぱり嬉しい。ミステリ者さん、いかがでしょうか。 ※品切れ

2013/11/03 水島毅『職業革命家——日共幹部160名の履歴書』(全貌社/1970)出品。「職業革命家」というのは、党の中で地位を得、職権を守るのに汲々としている共産主義者を揶揄した表現。初めの理想は高邁でも、組織が大きくなれば硬直化するのは運命か。 ※品切れ

2013/11/03 船坂弘『殉国の炎』(潮出版/1971)出品。船坂軍曹の「アンガウルの戦い」が生々しく描かれている。その孤軍奮闘ぶりは、とてもここでは書き尽くせない。もう、リアル「ランボー」だよ。 ※品切れ

2013/11/11 マーチン・ガードナー注の『不思議の国のアリス』(東京図書/1980)を出品。『アリス』の一見唐突でナンセンスな展開、不可思議な挿入歌にも、必ず元ネタや隠された意味がある。我われ現代日本人がそれを読み解くには、優れたガイドが必要だ。 ※品切れ

2013/11/11 尾崎士郎『ホーデン侍従』(曉書房/1949)を出品。2つあるホーデンの片方を摘出し、不老不死の妙薬を作ろうとする、というストーリー。こんな小説が、1949年の「小説新潮」に乗ってたんだなあ。著者は死後、文化功労者に叙せられた 。曉書房版『ホーデン侍従』の目玉は、何と言っても、清水崑(「黄桜のカッパ」で有名な画家)装画のこの函!ホーデン侍従氏の、このユルい感じはどうだ。ちょっと、吉田戦車に通じるところがあるな。 ※品切れ

そして「侍従」がいれば、当然その主人もいる。函の裏側には「ペニス大公」。これまたユルい。日本漫画の先駆者の、貴重な作品である。

2013/11/13 ジェイムズ・ティプトリー・Jr『老いたる霊長類の星への賛歌』(ハヤカワSF文庫/1989)を出品。「たったひとつの冴えたやりかた」の作者の短編集。どの短編も暗く破滅的だが、胸を打つ。ジェンダーがテーマの作品が多い。ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアについて調べてみると、その人生の波乱万丈ぶりに驚く。ペンタゴン、CIAを経て、大学で博士号取得。そして作家へ。性別を隠しつつ、「最も男性的なSF」を書く。痴呆症が悪化した夫と、ショットガンで心中。 ※品切れ

2013/11/14 菅野清人『標準 謄写印刷の仕方』(金園社実用百科選書/6版)を出品。実用百科シリーズは玉石混淆で古書価もマチマチだが、これはイチオシ。「実習編」は全て、筆者が実際にガリ切りしているのだ! ※品切れ

2013/11/15 別宮貞徳『目から鼻へ抜ける話』(南窓社/1989)出品。翻訳家の軽妙なエッセイ。オビをこんな風に栞にリメイクしちゃうのは、初めて見たなぁ。カドを切ってあったり、几帳面なかんじ。 #痕跡本 ※品切れ

2013/11/18 右左見堂の棚にある「ホームズ研究」としてもう1冊お勧めなのが、グールド『シャーロック・ホームズ  ガス燈に浮かぶその生涯』(河出文庫)。あらゆる資料からホームズの「架空伝記」を編み上げた、というもの。日付単位で、すごく詳細。さすが。 ※品切れ

2013/11/20 小野田寛郎『戦った、生きた、ルバン島30年 ——少年少女におくる、わたしの手記』(講談社/1974)を出品。あの「小野田少尉」自身が30年間の潜伏生活について語る、異色の「児童書」。印象的なのは、「なぜ、出てこなかったのか」という章だ。山中に潜伏しながらもトランジスタラジオなどで日本の敗戦を知っていた小野田少尉が、「上官からの命令以外では山を降りない」と頑なに誓ったのはなぜか。1974年の「戦争を知らない子供たち」に、じゅうぶん伝わったかは分からないけれど。 ※品切れ

少年少女の質問状に答えていく、という体裁で進行する本書は、小野田少尉のサバイバル生活に関する詳細な資料でもある。「きみの質問にこたえる、わたしの図解」が多いのも、児童書らしい。が、「弾薬の隠匿方法」は、子供の役に立つのだろうか……? 

2013/11/21 『作戦要務令 ——現代企業に生かす軍隊組織』(日本文芸社)出品。副題のせいでビジネス書っぽく見えてしまうが、厳然たる「資料」である。要務令に加えて「軍隊内務令」「戦陣訓」も完全収録。旧軍研究者・ファンの方、お手軽便利な一冊ですぞ。 ※品切れ

2013/11/26 中鈞一『虎を撃つ』(講談社/1968)出品。満州にて何頭もの虎・羆を撃ち斃してきた筆者の手記。零下四十度の雪原に一ヶ月以上露営しながら、獲物の足跡を追跡して一日百キロ近くも踏破する。「極限」に生きるハンターの生き様が活写された良書。「狩猟もの」はフィクション・ノンフイクションの立派な一ジャンルだが、その魅力は「撃つ瞬間」よりも「追跡行」に凝縮されている。猟師の「カンと経験」が勝るか、獲物の「野性」が勝るか。僅かな痕跡を追って追って、そして最後は、両者の「根気」の闘いになる。純粋な勝負の世界に、惹き込まれる。

しかしこの田中鈞一という人は、物凄いな。ハンティングだけでなく、「元満州国大同学院在学中、部下五万を有する匪賊を帰順せしめた功によって叙勲」とか。こちらの活躍もぜひ読んでみたい。満州というのは日本人にとっての「フロンティア」だから、型破りで伝説的な人が多くいたんだなぁ。

※品切れ

 

2013/11/28 宮武外骨『奇事流行物語 奇態流行史』(人物往来社/1961)出品。日本出版界の反逆児が収集した、古今東西の奇妙な「流行」を纏めた一冊。まじない、ニセ薬、奇法・悪法、駄洒落、エロ事……。歴史の教科書には絶対載らない、異説・珍聞満載の書。 ※品切れ

2013/11/28 宍倉富士雄『突撃一番 スキンのれきし』(未来工房/1983)出品。豆本は趣味性が強く珍本の類も多いが、これもなかなか。内容は大マジメな「コンドーム史」。スキンの箱っぽい大きさ。 ※品切れ

2013/11/30 パソス『世界戦線を往く』(早川書房/1951)出品。「ライフ」誌の従軍記者によるWW2戦記。3章立てのうち2つの章は南方戦線の記録で、「米軍から見た日本軍」の資料としても貴重。一面的な判断を避ける為にも、米側の記録にも目を向けたい。 ※品切れ

2013/11/30 『詳注版 シャーロック・ホームズ全集』(ちくま文庫)の端本を2冊出品。5巻(四つの署名・バスカヴィル家の犬)8巻(パーティントン設計図・覆面の下宿人・サセックスの吸血鬼・スリークオーターの失踪・アベイ農場)です。天シミがあるためお安くなっておりますが、使用感薄くきれいです。「詳注版」の名に恥じぬ詳しさ。文庫のクセに2段組み、下段はまるまる注釈。これはもはや「ホームズ学」ですね。英国の様々な版の挿絵も載っており、楽しい。 ※いずれも品切れ

2013/12/02 柏原兵三『夏休みの繪』(三笠書房/1973 )出品。40歳で早逝した著者の処女作。受験勉強のために訪れた海辺の町での淡い恋、初めての酒の味。少年らしい苛立ち・不安・悔恨が丁寧に描き出されている。「夏草と潮風の匂いを持った青春小説」。でもまあ、読者の強い共感を呼ぶ作品でもないかも知れぬ。と言うのも、主人公は著者と同じく「すごくお育ちが良い」のだ。東京のお屋敷住まいのインテリ少年が、海沿いの田舎町で「ひと夏の思い出」をつくる。そこでの「悩み」ってのも何かこう、甘っちょろい感じ。それをくすぐったがりながら読もう。 ※品切れ

2013/12/03 堂本照彦『鬼伝 ——中倉清烈剣伝』(スキージャーナル/1979 )出品。「昭和の武蔵」中倉清直筆の署名と、その太刀筋のごとき筆致の「一剣以貫」の書。為書が切り抜かれているのが惜しいですが。 ※品切れ

2013/12/03 ショーペンハウアー『随感録』(白水社/1978)。ショ氏の哲学は僕には難解すぎてすぐに投げ出した憶えがあるが、本書は剥き出しの「人間ショーペンハウアー」が読めて面白い。女性蔑視、ヘーゲル罵倒(「批判」でなしに)など、「見どころ」多し。 ※品切れ

2013/12/03 ベンヤミン『ドイツ悲劇の根源』(ちくま学芸文庫/1999)出品。上下揃で出してるのはウチだけみたい。送料のこと考えると、ちょっとお得です。新訳で読みやすく、「運命と性格」「暴力批判論」「カルデロン/ヘッベル論」ほかの付録、補遺も豊富。 ※品切れ

2013/12/13 野上豊一郎『能面論考』(小山書店/1944)出品。筆者は能研究にこの人あり、と言われていたとか。物資窮乏の折のためか、表紙は厚紙+寒冷紗(普通は、背の補強のために使われる)のみ。時代だ。  ※品切れ

2013/12/05 『夢幻紳士 怪奇編』三冊揃(アニメージュコミックス)出品。一括発送でちょっとお得に。僕自身の蔵書として全集版をほとんど揃えてるけど(数冊欠けあるんだよね)、「怪奇編」が一番好きです。やっぱり、夢幻紳士はシリアス路線の方が好きだなぁ。 ※品切れ

2013/12/06 サトウ・ハチロー『トコちゃん・モコちゃん』(少年少女講談社文庫/1976)。イラストは古茂田ヒロコ。 ※品切れ

2013/12/09 矢沢宰『光る砂漠』(童心社/1969)再入荷。夭逝の詩人の遺詩集。20歳やそこらの若者が死を目前にしてもジタバタせず、こんなに美しい言葉を紡げるのか、と驚きます。薗部澄のやや硬質なモノクロ写真も、実直な詩調に相応しい。 ※品切れ

2013/12/09 砂子屋書房 現代短歌文庫から、『岡井隆歌集』(1995)、『三井修歌集』(2002)出品。いずれも現代前衛短歌の雄であり、写実はもちろん、社会派短歌や異国の神話を題に採った歌も多い。 ※いずれも品切れ

2013/12/09 島木健作『礎』(新潮社/1944)。満蒙開拓団のいしずえとなった岩木茂太の一代記。島木は所謂「転向作家」だが、その作品の端々に「知識人として誠実であろう」という強い意思が垣間見え、戦前・戦中も学生らに強く支持されたらしい。ウチが出品した『礎』は1946年の3刷だが、やはり物資窮乏の折、使用されている紙も裏の文字が透けて見えるような粗悪なものである。いわゆる「センカ紙」だ。  ※品切れ

2013/12/09 安丸良夫『一揆・監獄・コスモロジー 周縁性の歴史学』(朝日新聞社/1999)出品。百姓一揆・世直し・無宿と博徒・犯罪と刑罰・大本教などまさに近現代史の「周縁」にフォーカスすることによって、日本史の「核心」を透視せんとした意欲的好著。 ※品切れ

2013/12/12 プイヨン『粗い石』(文和書房/1973)出品。12世紀南フランス、シトー会の修道士にして建築家である主人公がル・トロネ修道院を完成させるまでの、日記ふう小説。信仰が建築に昇華する様を見事に描いた好著。史実に基づいている。修道院建築といっても、お堅い宗教小説というわけではない。特に職人衆は人間味に溢れており、その遣り取りは軽妙愉快。主人公が一にち石切場の視察を怠っただけで「で、石のことは眼中にないというわけでござるか。もうずいぶんしばらくお目にかかりませぬなあ」と嫌味を垂れる石切職人などはお茶目。 ※品切れ

2013/12/12 「おんな細腕一代記」的なジャンルから。川口松太郎『商魂さん』(桃源社/1967/700円)と、花登筐『船場情艶』(毎日新聞社/1976/1,000円)出品。 ※いずれも品切れ

2013/12/12 米国海軍情報部編『ソビエト海軍の全貌』(ダイナミックセラーズ/1984/2980円、漸次値下げあり)出品。ソ連爛熟期の海軍力を、ONIが総力を挙げて調査し纏め上げた力作。謎多いソ連原潜についての情報も充実。 ※品切れ

艦娘もいいが、やっぱコレだね、のシルエット表(巻末付録)。昔の映画や漫画には「ゼロ戦もの」というジャンルがあって、少年飛行兵が座学の時間にコレを一生懸命見つめて艦影を覚えようとするシーンがよくある。「敵艦発見!」の瞬間のためにね。 

2013/12/16 グレゴリー・コーソ『人間賛歌』(彼方者/1996)出品。著者は非行少年だったが、ギンズバーグに薫陶され詩人に。ビートニクらしくラリったような作風だが(実際、麻薬モチーフの詩も多数)、戦争や差別、死生観についてペーソス豊かな詩も多い。 ※品切れ

2013/12/17 たまには社会科学系の名著を。アマルティア・セン『貧困と飢饉』(岩波書店/2000)出品。ノーベル経済学賞受賞者による飢饉論。飢饉の原因は食糧不足だけでなく、食糧分配メカニズムの不平等であると看破した。 ※品切れ

2013/12/17 ウィリアム・バークレー『バークレーの新約聖書案内』(ヨルダン社/1985)出品。縦長の変型本で、上段は注釈専用に場所を取ってある。聖書学としてアカデミックな内容ではないが、新約の優れたガイドとして。因みに、筆者はセカンドチャンス論者。 ※品切れ

2013/12/17 『夢野久作全集』全十一巻大揃(ちくま文庫)出品。一万五千円。 あの有名な『ドグラ・マグラ』から、マニアックな随筆まで全て読める。当初は数冊の欠けがあり、完揃にするのに苦労しました。第十一巻はここでしか読めない(三一書房の全集にも入っていない)随筆、「梅津只圓翁伝」なども収録しており、単品でもかなり古書価が高い。ちなみに梅津只圓翁伝」の梅津只圓とは、夢野久作が小四〜中学まで能を習った師匠。しかし型に嵌った伝記ではなく、まるで漫談のような感じ。求道的な芸能者として尊敬しつつも、「息が堪らなく臭い」ことを素っぱ抜いたり。1935年の時局に合わせ、国策迎合的な描写が頻出することを差し引いても面白い。因みに『梅津只圓翁伝』は、山下武『古書礼賛』(青土社/1986)において3ページ半程の紙面を割いて紹介されている。僕が『只圓翁伝』について多少の予備知識を持っていたのも、それを読んでいたお陰。面白く、資料性も高い古書随筆集。マケプレで五百円くらいだし、オススメです。 ※品切れ

2013/12/18 森秀樹『パルナッシアン詩句抄』(青山社/1994)出品。「パルナッシアン」とは19世紀フランスの「高踏派」のことであり、ロマン主義への反動と見做され忘れられかけているが、「高踏」の中にも「おフランス気質」が見え隠れし、中々おもしろい。 ※品切れ

 

紳士ぶって澄ましなさんな!

皆さん、フランスのみが愛すべく神々しい酒の国ですぞ!

霧とビールはイギリスのもの!

ジン酒で憂鬱を晴らすのはかの国の者にまかせたまえ!

(中略)

でもわれらフランスは雅趣の国です。

 

陽気な詩人の無軌道ぶりを保ちましょう!

(バンヴィル 「仮面舞踏会より」)

2013/12/25 ガルシア・マルケス『愛その他の悪霊について』(新潮社/1996)出品。狂犬病に罹った美少女と、悪魔祓いの神父の禁断の愛。狂犬病の狂乱・悪霊の猛威・燃える情愛を意図的にダブらせた、「熱病で見た白昼夢」のような読後感のラブストーリー。 ※品切れ