・このページは、2014年 7~9月に当店がツイートした出品書籍紹介の再掲です。

・リンクから商品ページに飛ぶことができます。画像クリックで拡大。

・並びは時系列順(昇順)、但し品切れのものはページ下部に移動。

・「※品切れ」の表示は「当店の在庫は売れてしまった」という意味で、「amazonマーケットプレイスでの在庫がゼロである」という意味ではありません。

2014/07/02 田中三郎『フィデル・カストロ』出品。著者は元駐キューバ大使で、在ペルー日本大使公邸占拠事件犯人のキューバ亡命案の相談では、直接カストロと言葉を交わした。人物描写としてはカストロ賛美に過ぎるきらいはあるが、文献翻訳も豊富で貴重な資料。


2014/07/17 安田寛ほか『自衛権再考』出品。憲法解釈、日本政府見解の形成過程、歴史的分析、刑法における正当防衛、英米・独のセルフ・ディフェンス観、等々。日本で今最もホットな話題を考えるご参考に。

2014/07/22 プイヨン『石叫ぶべし』出品。名著『荒い石』の著者の、建築家としての波乱万丈の半生。スキャンダル漬けにされ病院に幽閉された著者が、脱走して政官財界の病根を暴露し、己の潔白を証明する!


2014/07/26 野田昌宏『SFを極めろ!この50冊』出品。SFの伝道者、「宇宙軍大元帥」が、いつもの名調子で紹介する怒涛の50冊。いわゆる「名作」が多いが、中には「なにそれ?」というのも。ヨミタマエ!

2014/07/27 樫原一郎『指と眼と鍵』出品。昭和刑事もの短編集。老練なデカと因縁のスリ師が戦場で再開して友情を深めたり、イカニモ。外事っぽい話もあり。最終話が「愚連隊オンパレード」というのも、スゴいなぁ。戦後間もない時期って、混乱した世情を反映してか「犯罪もの」「猟奇もの」が多く出版されてるけど、事件じたいはかなりインサンでも、現代人感覚で読むと時代の空気は何だかオオラカで、犯人さんのセリフさえもなんだか品の良さそうな感じ。まあ、その分野の権威、唐沢俊一先生の請け売りだけど。

2014/07/28 市川昭午『大学校の研究』出品。「大学」とはちょっと違う「大学校」。有名どころでは、防衛大学校とか。官公庁所管の、専門性の高い学校たちの意義や様態を、つぶさに研究した好著。

2014/08/04 今日出海『海賊』出品。日中戦争時、日中和平工作に暗躍した岩田幸雄をモデルにした冒険ロマン。銃撃下での物資買付け・敵の秘密結社からの親日派防衛など、実話を基にしているだけに迫力満点。

2014/08/04 エフトゥシェンコ『詩集 白い雪が降る』出品。著者は、1960年代半ば、スターリン主義を公然と批判した「雪解けの世代」の詩人。親日家で、日本や特攻隊に関する詩も。巻末には大江健三郎との対談。

2014/08/04 藤田傳『黒念佛殺人事件』出品。実際の事件を取材して書かれた戯曲で、ジャンルとしては「閉鎖的村落の集団隠蔽もの」。近親相姦や土着信仰など、要素も豊富。巻末にかなりの分量の取材記録あり。

2014/08/04 スタニスラフスキー『劇場(遺稿)』出品。現在でも「‐システム(メソッド)」の提唱者として演劇界の権威であり続けるスタ氏の遺稿。巻末に附・マルコフ「スタニスラフスキー遺産の研究によせて」も。 

2014/08/05 山口三夫『暴力と非暴力のあいだ』出品。高村光太郎の戦争協力と反省、ロマン・ロランとガンジーの「非暴力」観への考察を経て、学生闘争へのカウンターとしての安易な「非暴力」を批判する。謹呈本。


2014/08/09 グレン・ショウ英訳『RASHOMON(羅生門)英和対訳』出品。表題作ほか、「煙草と悪魔」「花」「手巾」「虱」「煙管」「蜘蛛の糸」「酒虫」。ちなみに、訳者を漢字で書くと「尚紅蓮」らしい。かっけぇ。


"Then I guess you won't blame me for turning highwayman, will you? I, too, must starve else."

「では、己が引剥をしようと恨むまいな。己もそうしなければ、餓死をする体なのだ。」

2014/08/09 岡野直七郎『夜明け空』出品。第一章は戦争短歌。「天とよむ大みことのり伏し承けて民の一億炎と立ちぬ」から始まり、「大みこゑうち伏し聞くにあなやあなや時局を収拾せむとのたまふ」で終わる。時系列順になっているので、当初は戦果を慶ぶ歌が多いが、年を経るに従って 戦局が傾いていくのが見て取れる。著者は予備将校のまま招集されなかったが、戦時日本の「銃後」の空気をリアルに感じられる。謹呈署名本で、為書は『樹木』創刊・主催の中野菊夫。


2014/08/17 新潮社「一時間文庫」から三冊出品。ナーバー『SEXは必要か』(品切)バーベリオン『絶望の日記』飯澤匡『二号』。新潮社が意欲を以て「新書」界に参入したレーベルだったが、3年間66冊で打ち切りになったそう。完収を目指してみるのも面白いかも。ラインナップは新書にしては若干固め。

2014/08/17 笠原嘉編『ユキの日記』出品。インテリ、カソリックの家に育った病弱な少女の8歳~20歳の日記。文学・音楽に親しんだ才媛の日記は文学的に美しいが、次第に統合失調症の蔭が。病跡学の素材としても。『ユキの日記』は2002年に新装版が出てしいるので、旧版の当店出品は五百円とお求めやすい価格。「うつ」や「統合失調症」という言葉がまだ定着していない頃の貴重な資料であり、読み物としても味わい深い。

2014/08/22 岳真也『ばっかやろう 生きて、旅して、考えて』出品。岳真也の処女出版。「自分探し第一世代」って感じ。砂漠で追い剥ぎに追われたり南アのゲリラ隊長と語りあったりイスラエルの爆弾テロで死にかけたり。

2014/08/22 川村晃『闇にひらく』出品。中年男が少女に心惹かれ欲望に抗いながら懊悩する、という「ロリ自戒もの」というジャンルがあるが(注:名称は僕の自作)、そこに「組合運動」を絡ませたトリッキーな小説。組合運動や新しい家庭の軋轢で身も心もズタズタになった主人公が、後妻の美しい連れ子を愛でることで救いを得ようとするが、その気持ちは次第にエスカレートして……という感じ。


2014/08/23 ワナーグ『ロシア民族史』第一巻・第一分冊 出品。1936年当時80銭。日本の本には珍しいアンカット装で、ペーパーナイフで切り開いて読む。当店在庫には、一部開いてないページがあります。

2014/08/29 フロマンタン『レムブラント』出品。レンブラントの伝記。特に「解剖学講義」と「製絨組合員」に詳しい。この「座右宝刊行会」は芸術系の出版社だったらしく、アール・デコ風の凝った表紙が美しい。

2014/09/03 メレシコフスキー『来たるべき賤民』出品。著者はフリーメーソンで宗教家。露革命を信仰覚醒の契機と捉えた。革命と神秘の狭間に立った稀有な思想家。「賤民」とは反キリスト的インテリゲンチャを指す。


2014/09/03 三木公平『参謀辻政信ラオスの霧に消ゆ』出品。関東軍の怪人・辻政信が戦後 参院議員となった後、ラオスで失踪した事件の真相を追う。当時のラオス情勢や生存説、「僧衣の謎」等を丁寧に検証した労作。この古書、妙にプレミアが付いていますね……。


2014/09/03 夜のエロ物。林逸馬『危険な娘』出品。「性的解放」を描きたいブンガク的意図とエロ的センセーションを煽りたい気持が混ざり合った絶妙なヘンさ。エロ紳士との大マジメな「体位」談義が何とも可笑しい。


「さしづめこの女性上位の型を研究してみるといいよ」(`・ω・´)キリッ

2014/09/09 いばら美喜『化け猫少女』。「放浪の似顔絵描き」から転身した伝説のカルトホラー漫画家・いばら美喜先生の貸本時代の作品。劇画調で展開される、トンデモ・皆殺しストーリーはクセになる味わい。 

2014/09/19 唐十郎『豹の眼』出品。第2エッセイ集。ブラジル紀行や五木寛之との対談、演劇論、都市論など。この作家の源流たる幼少期の記憶なども味わい深く描かれている。

2014/09/19 阿部たつを『新編 啄木と郁雨』出品。啄木の義兄弟で、物心両面において最大の庇護者であった宮崎郁雨を研究。二人が訣別する切っ掛けとなった所謂「不愉快な事件(節子夫人晩節問題)」にも切り込む。

2014/09/19 バルビュス『砲火』二冊揃出品。著者41歳で志願しWWⅠを闘った経験を基にした鮮烈な戦争文学。負傷して担ぎ込まれた野戦病院で書いた。次々と斃れる戦友や戰爭の犠牲になった人々の生々しい群像劇。

↓ 以下、既に売れてしまったご本 ↓

2014/07/08 マックス・フリッシュ『ぼくではない』出品。身分を変えながらヨーロッパを転々とする主人公の、「自己からの逃亡」の物語。邦題はのちに、「ぼくはシュティラーではない」に改められた。訳者 中野孝次のサイン本。独文学者としてより、『清貧の思想』『ハラスのいた日々』の著者としてのほうが有名かな。為書はおなじく独文学の大家 手塚富雄。 ※品切れ

2014/07/20 太田静一『中原中也 愛憎の告白』出品。「宿敵」小林秀雄との関係にスポットを当て、中也を分析せんとする意欲作。「サーカス」など初期詩篇への論考も、「小林への敵愾心」がキーワードになっている。初期詩篇一篇につき15~20ページも割いて論考を展開しており、概説的な『中原中也研究』よりもよりかなりディープな内容になっています。 ※品切れ

2014/07/20 石井洋二郎『差異と欲望 ブルデュー『ディスタンクシオン』を読む』出品。親から子が、品性・教養などの「文化資本」を受け継ぐ「文化的再生産」、構造的「卓越化」、それに伴う階級闘争など、難解なブルデュー思想を解りやすく。裸本なので安いです。 ※品切れ

2014/07/20 高田久壽『炎の美女革命家 モード・ゴン』出品。イェーツ生涯の想い人にして、アイルランド独立運動の闘士、モード・ゴン。革命家としての素顔と、イェーツに与えた影響を探る。 ※品切れ

2014/07/22 『グレアム・グリーン自伝』出品。「スパイ経験のあるスパイ小説家」の前半生を描く。ロシアン・ルーレットに生の躍動を求める風変わりな少年が、いかなる知的遍歴を経て、ベストセラー作家となったか。 ※品切れ

2014/07/26 マクロイ『読後焼却のこと』出品。物書きの間借人たちと住む女流作家が、「読後焼却のこと」と書かれた犯行計画のメモを見つけてしまい……殺される「覆面書評家」とは誰なのか?著者の本格もの復帰作。 ※品切れ

2014/07/28 粕谷進『戦後日本の安全保障論議』出品。安全保障問題と言えば、今まさに日本でホットな問題だが。本書は戦後戦後まもなく、第1回~第11回国会までの安全保障論議を分析する。まさに喧々諤々で、中立国化だ、保護国化だ、国連に護ってもらおう、いや、再軍備……等まとまらないところに、朝鮮動乱で警察予備隊を作らされ……という経緯がすごく良く分かる。「義勇軍」とか「群民蜂起」にまで話題が及んでいるのも、戦争の記憶がナマナマしい当時の空気が伝わってくる。 ※品切れ

2014/08/02 南郷正継『武道の理論』出品。唯物論的弁証法導入した武道理論書。著者は自称「哲学者」で、「ヘーゲルの高みに達するべく」空手を研鑽したとか……。一見「トンデモ」っぽいが、内容は結構まとも。 ※品切れ

2014/08/04 ライヒ『きけ小人物よ!』出品。マルクス主義者・精神分析学者の、人類愛発露の書。ほんらい偉大であるはずの人間が「小人物」に堕し、己の進退を独裁者に任せてしまうメカニズムと、そこからの解放を説く。暴君・独裁者もちっぽけな「小人物」にすぎず、自ら「偉大さ」に回帰することで克服できること。ニーチェ風の力強い筆致。ジンとくる。赤瀬川原平のペン画も相俟って、凄味のある一冊になっている。 ※品切れ

2014/08/04 吉田嘉七『定本 ガダルカナル戦詩集』出品。著者としては一下士官として正直な心情を歌っているのだが、戦中は「愛国詩」、戦後は「反戦詩」として読まれた稀有な詩集。そもそも詩はイデオロギーの色眼鏡で読んではダメってことか。この「定本」はに戦後の詩も。 ※売切れ

2014/08/04 島田誠『無愛想な蝙蝠』出品。神戸海文堂書店社長・ギャラリー島田のオーナーである著者が、文化人と商売人の中間たる「蝙蝠」としての自負を語る。充実した絵画論が多いが、書店員としての随想も面白い。 ※品切れ

2014/08/05 マクルーハン『グーテンベルクの銀河系』出品。メディアを論ずる際に必携の古典。活版印刷の発明に端を発する「活字文化」という「銀河」の在り様が、おびただしい引用資料のモザイクから立ち上がる。 ※品切れ

2014/08/05 若月彰『乳房よ永遠なれ』出品。中城ふみ子の歌作とロマンス、そして乳ガンとの闘い。田中絹代監督・月丘夢路主演で映画化され一世を風靡した、らしい。が、原作は絶版だし、映画はソフト化されてない。 ※品切れ

2014/08/09 黒井千次『メカニズムNo.1』出品。アカサタナ馬車工業株式会社の平社員アイウエオが「組合活動をしない組合委員長」になることを条件に出世を約束されるが、折しも社内では大量首切りが。闘いを欲する組合員と、「密約」のある会社との間で板挟みになったアイウエオは混乱し、次第に分裂していく……。記号的な固有名詞からも分かるように、シリアスながらもどこか戯画的・風刺的で、ぐいぐい読ませる。 ※品切れ

2014/08/09 中島義道『悪への自由 カント倫理学の深層文法』出品。多くの学者のようにカント倫理学を「整合的分析」の具にするのではなく、その奥底に流れる「深層文法」を読み解こうとする好著。人間は、副題でもある「悪への自由」を持って生まれ、その上「悪」を行いたがる性癖すら備えているが、それに必死に逆らって「善くあろう」とする誠実さにこそ、尊敬に値する。逆に、いくら現に「善く」あっても、道徳を持ち出して現状を追認し、自己愛を増大させる「密輸入」は真の道徳性ではない。 ※品切れ

2014/08/09 中島義道『後悔と自責の哲学』出品。人間の「後悔」を、「あの時、そうしないこともできたはずだ」と遡って自由意志について考える作用と捉える。中島の自由論・時間論を分かりやすく展開した好著。 ※品切れ


2014/08/09 中島義道『明るいニヒリズム』出品。「過去」は存在しない。ただ<いま・ここ>を生きる<私>が、己をとりまく「客観的世界」に意味を付与するために、「過去」を援用するに過ぎない。だから<私>が死んだ「あと」世界は無く、失うものは何ももない。 ※品切れ

2014/08/09 中島義道『モラリストとしてのカント』出品。時間にうるさく、孤独を好み、女を嫌い、食事のお行儀が悪い。「人間カント」を掘り下げる。難解な哲学に取り組む前にその「人となり」を知ろう。必読必携! ※品切れ

2014/08/09 カント『道徳形而上学の基礎づけ』出品。岩波文庫や光人社古典新訳文庫でも出てますが、この以文社の宇都宮芳明 訳・注解が一番原典に忠実・丁寧。本気で取り組む人は、是非これで。 ※品切れ

2014/08/09 岩崎武雄『カントからヘーゲルへ』大橋良介(編)『ドイツ観念論を学ぶ人のために』。いずれもカント、フィヒテ、シェリング、ヘーゲル…というドイツ観念論の軌跡を見渡せる好著。特に後者は「学ぶ人のために」シリーズの中でも出色。 ※いずれも品切れ


2014/08/09 ジュリアン・バッジーニ、 ピーター・フォスル『倫理学の道具箱』出品。倫理学各分野の基本ワードを1項目3~4ページで紹介。身近な例も多く読み物としても面白い。専攻を決めかねている哲学学生や、社会人になって倫理を学びなおしたい人、是非。「ケア」や「ジェンダー論」、サンデルで最近流行した「公共哲学」など、新しめの話題を積極的に採り入れている姿勢もマル。 ※品切れ


2014/08/13 最近日本軍モノばかりだったので、たまには共産趣味モノを。イスクラ『共産主婦 東側諸国のレトロ家庭用品と女性たちの一日』。共産圏デザインって、なぜかノスタルジーをくすぐるところがあるよね。

「おはよう」から「おやすみ」までの生活を、当時の生活雑貨を参照しながら再現しています。フルカラーでパラパラ見るだけでも楽しい。けっして豊かではないけれど、どこか心温まるような「東側版グッド・オールド・デイズ」って感じかな。

旧共産圏では本気で過去の生活を懐かしんでいる人の「懐古需要」もあるそう。東独トラバントの排ガス臭の缶詰が売れたり。老母の為に必死に共産主義時代を再現する映画『グッバイ・レーニン!」』なんてのもありました。共産圏の「生活に寄り添う」デザイン、いいですよね。 ※品切れ


2014/08/14 「南京事件」に関する資料2点。真逆の二冊。

吉田裕『天皇の軍隊と南京事件』は「あった派」に今でもよく引用される基本資料。

東野修道ほか『南京事件 「証拠写真」を検証する』は2000年以降に多く出版された「反駁本」の一つ。

※いずれも品切れ

2014/08/15 船坂弘『玉砕―暗号電文で綴るパラオの死闘』は、参謀長多田大佐がMPの追及を躱し命がけで持ち帰った電文から、壮絶なパラオ戦を再構築した労作。著者は「あの」船坂弘である。 ※品切れ

2014/08/15 岡村俊彦『榾火』は、中支戦線における軍医の記録。烈しい戦闘、阿鼻叫喚の繃帯所、自身の赤痢の病状など。著者が持ち込んだライカの写真が戦場の悲惨さをより強烈に示してくれる。 ※品切れ

2014/08/15 木村一信『戦時下の文学』は、翼賛的な文学界の様相はもちろん、当時のサブカルチャーやキッチュ文化、その他メディアの隣接領域にまで踏み込んだ好著。当店出品は千五百円とお買い得。 ※品切れ

2014/08/15 黒田秀俊『軍政』は、記者であった著者が軍政下のジャワ・マレー・タイ・ビルマなどを取材した記録。軍人の驕慢、現地民に怖れられる「ケンペイ」、慰安所、陸海軍の抗争など。 ※品切れ

2014/08/17 黒澤亜里子『女の首――逆光の「智恵子抄」』出品。「智恵子抄」に秘められたメタ・メッセージを読み込むことで、光太郎の”贄”にされ病んでいった智恵子の有り様を描き出す。夫婦像を覆す書。 ※品切れ

2014/08/17 世界の艦船増刊『現代の海戦』出品。1982年の刊行なので、米ソの戦力比較に力が入っている。面白いのは「1991年、米ソ艦隊衝突」的なシミュレーション記事があること。ソ連崩壊の年じゃん。 ※品切れ

2014/08/19 フランセン『アガトン=サックスの大冒険』出品。少年向け探偵ものとして根強い人気。ポワロっぽいキャラの探偵がタンタンっぽい冒険を繰り広げる、って感じ。和田誠のユーモラスな挿絵も豊富で楽しい。 ※品切れ

2014/08/22 『邱永漢自選集2』出品。自身の亡命経験を下敷きにした直木賞受賞作「香港」等収録。国民党が台湾人を徴兵したら、日本式に慣れすぎて日本軍歌を大合唱したり「○○君バンザーイ!」とやって上官を辟易させた、という「長すぎた戦争」が面白かった。 ※品切れ



2014/08/22 松下了平『シャーロック・ホームズの鉄道学』出品。シャーロキアン+鉄道マニア、という二重に「こじらせた」一冊。原典中の鉄道に関する描写を取り上げ、当時の古書・時刻表をもとにシツコク考察する。 ※品切れ


2014/08/23 ブノアメシャン『灰色の狼 ムスタファ・マケル』出品。もとヴィシー政権外相の手になる伝記。WWⅠ・トルコ革命の英雄にしてオスマン帝政に引導を渡した「正しい独裁者」の、烈しく孤独な闘い。 ※品切れ

2014/08/26 玉木英幸『人間になりたかった猫』。教育論、芸術論、死生観などを哲学的に考察する猫の「オミャア」。文明批判と人類愛惜。宙を見上げて宇宙論を哲学する猫は可愛くて深い。知的で楽しい哲学よみもの。 ※品切れ

2014/08/26 コージン『日本の今日』。「プラウダ」紙の特派員が見た1952年の日本の暗部。貧民窟や警官に蹴散らされる傷痍軍人デモなど。「米国による占領=抑圧」が通奏低音になっているのがソ連記者らしい。 ※品切れ


「だらだらとまき返しくり返し≪ナム・ミョウ・ホウ・レン・ゲ・キョウ≫という音から成る、調子はずれの讃美歌を区切る、見えない点をだれかが闇のなかで置きかえているようであった。

こういう何気ない描写に、「外国人が見た日本もの」の滋味を感じる。 


2014/08/29 田辺敏雄『「朝日」に貶められた現代史 万人坑は中国の作り話だ』出品。慰安婦訂正記事で「朝日叩き」が再燃しているようだが、こちらはH6刊の「万人坑」検証本。逆の立場『万人坑を訪ねる』と双璧。

「万人坑」って南京大虐殺と違って、最近では右も左も殆ど話題にしませんね。現地には今でも記念館があるそうだが。日本で刊行されてる書籍は殆どが否定論なのに、wikipediaの記事は「日本軍の虐殺跡」という立場のごく短い記述があるだけだし。 ※品切れ

2014/08/29 『ヒメネス詩集』出品。ラモン・ヒメネスは、韻律を廃した自由詩“純粋詩”の確立者。多作で知られるが日本で出てるのはこれだけ。去年、未知谷なる出版社から再刊が出たようなので廉価にてご奉仕。 ※品切れ


2014/08/29 生島治郎『東京2065』出品。久々の銀背。ロボット軍団vs秘密捜査官のハードボイルドSF……が、サイバー感薄いレトロフューチャーって感じでなんか和む。真鍋博の表紙も、往年のSF界のかほり。 ※品切れ

2014/09/02 志賀英夫『戦後詩誌の系譜』出品。同人・少部数のものを含め、日本各地の戦後詩誌を収集し、全ての書影を載せた貴重な書誌資料。各誌の関係者による寄稿や、編者による当時の詩壇に関する随想等も。 ※品切れ

2014/09/03 梅崎春生『ルネタの市民兵』出品。マニラ陥落直前に徴発された現地邦人兵の彷徨と最期を描いた表題作ほか6編。市街戦の緊張感と閉塞感、悲壮感。昭28の角川文庫版には収録されていない戦争短編多し。 ※品切れ

2014/09/03 『オニール一幕物集』出品。ノーベル賞作家の初期戯曲集。青年時代の船員経験をもとにしたリアルで迫力ある海洋劇を多数収録。20世紀初頭、娯楽主義の下で停滞していたNY演劇界に風穴を開けた品々。 ※品切れ

2014/09/03 増淵健『西部劇 その精神と魅力の解剖』出品。「スクリーン」誌の増淵氏による西部劇論。「マンネリだから面白い」という様式美。米国精神史への言及や史実との比較も。映画トリビアが豊富なのも流石。 ※品切れ

2014/09/03 近江絹糸紡績労働組合『らくがき』出品。職場、便所、寮に置かれた落書き帖に吐露された労働者のリアルな心情。プロレタリアの怒り、出稼ぎ親父の郷愁、集団就職少年の異性への憧れ。正に「心の窓」だ。 ※品切れ

2014/09/04 平林敏彦『磔刑の夏』出品。「ユリイカ」創刊メンバーでもある詩人 平林が三十年の沈黙を破って発表。富田砕花賞受賞。戦争など過去の暴力の残滓をノスタルジックに表現した詩が多い。署名入り短冊付。 ※品切れ

2014/09/04 楳本捨三『戦争 何が残った』上下揃出品。戦記の大家による、真珠湾攻撃から敗戦に至る戦闘の軌跡を編年体で纏め上げた労作。他の歴史小説家たちによる同様の仕事よりも本書のほうが簡潔で読み易い。 ※品切れ

2014/09/19 神崎清『恋愛古事記』出品。戦前の著名人たちの恋愛伝。作家・詩人をはじめ、キリスト者や科学者など題材は多様。晶子と鉄幹、一葉と桃水の他、大井憲太郎(民権運動家)と景山英子の獄中の恋など。 ※品切れ

2014/09/19 船坂弘『石の勲章』。アンガウルの勇士「船坂軍曹」が、同じく南洋で闘った若い少尉の死と「与えられなかった栄誉」の謎を執念で調査。「逃亡兵」の汚名を雪いだ大戦果に対し、軍上層部が取った態度とは。 ※品切れ

2014/09/20 ソールズベリーほか『偽りの来歴』出品。絵画詐欺事件の真相に迫る。人も作品も「来歴」重視の美術界を手玉に取った、偽りの肩書だらけの英国紳士。犯罪者ながらも魅力的な人物像。「贋作」薀蓄も豊富。贋作でも、美術館での展示歴や一流ギャラリーでの販売歴があれば(その「来歴」も偽造なんだけど)、真作として通用してしまう、という「権威」を逆手に取った手口に目からウロコです。 ※品切れ


2014/09/26 金子健二『人間漱石』出品。「漱石門下の記録」は数あれど、本書はやや希少な部類。「記録魔」金子が活写した英文科教師・漱石は何だかいつもイライラしていて(「癇癪」の語は頻出)、まさに「人間」らしい。 ※品切れ